12月と1月に読んだ本と修論のことなど

12月は主に修論と闘っていて、1月も提出してからほっとしたけれど口頭試験があったり、なんだりでバタバタしていた。まわりの人に気を取られやすいので、提出前は家にこもって自分のペースで進められたのは良かった。家にこもりながら、お風呂に入るときは好きな本を読もう、ということで、赤江瀑の小説や三好達治の随筆を読んでいた。

三好達治の随筆はとても気に入っていたのだけれども、お風呂から上がるときに脱衣所以外の場所に置いてしまったらしく、プチ行方不明に…… 早く見つかるといい。

 

12月に読んだ本

彩世まる『骨を彩る』

 文庫本の表紙の銀杏が印象的な一冊で、私が読んだときも銀杏が散り始めている時期で良かった。主人公の異なる短編で、しかし全体ではつながっている、という読みやすく面白い、よくある構成なのだけれども、それぞれ人のひやりとするようなところを書いていて、印象的だった。『あのひとは蜘蛛を潰せない』も好きだった。

 

よしもとばなな『アナザー・ワールド 王国その4』

 王国4部作の最後の作品。なんと4冊目にして主人公が変わるのだ。次世代、という感じで。また、いろいろ変わったことが起こるのだけれども、そのなかで、よしもとばななは、世の中で大きな問題になっていることについて書くときも、肩肘張らず、さらっとそのままいつも通りに書くので、そこがよいな、と思った。

 

1月に読んだ本

小沼丹『懐中時計』

 小沼丹、ずっと「こぬま」と思っていたら、「おぬま」だった。おぬまたん、響きがかわいいな。小沼丹はずっと気になっていたけれども、今回初めて読んで、とてもいいと思った。恋人に借りた本で返却してしまったので、正しいタイトルが思い出せないけれども、山奥の寺に住む叔母の話など印象的。ちょっと幻想的な話も、淡々とした教授の寺なんとかさんの話、どれも好きだった。執筆時期によるのか、周りの人が亡くなった話などが多くて、しかしそれも惜しみつつ少しドライな感じがして、老成すると別れにも慣れてこんな心理状態になるのか? と思った。たぶん、小説だからというのもあろうかと思う。 

川村湊編『現代アイヌ文学作品選』

 年末にアイヌの子守歌(60のゆりかご)を聞いて、アイヌに興味を持って読んでみた。アイヌのことをあまり知らなくて、神話世界などが書かれているのかなと思ったら、差別への抵抗が主な主題の作品も多く、驚いてしまった。差別されていたとは聞いていたけれども、思っていたより差別が激しかったようで、目をそらしてはいけない、と思って読んだ。アイヌについて興味があるので、差別などの苦しい歴史についても向き合って読んでいかなくては、と思った。

 知里幸恵の日記は、身に迫るものがあって、引き込まれて読んだ。少女の等身大の情熱や優しさがまっすぐ伝わってきた。精神が潔癖な感じ。鳩沢佐美夫の小説は、小説の味わいというか、私が読んできた日本近代小説にかなり似ていて、アイヌのことだけでなく、小説として面白く読んだ。

 

トルーマン・カポーティ 村上春樹訳『ティファニーで朝食を

 1年以上前に、前半を読んだけれども、後半の短編を2つ読めていなかった。

 玉川重機の漫画『草子ガイドブック』では「ダイアモンドのギター」が取り上げられていたな、と思いながら読んだ。「クリスマスの思い出」は、なんだか幸せで切ないクリスマスが描かれていて、自分の価値観を振り返ってしまったような。

 

 修論が終わったのに、あんまり本を読めていなくて残念。

 途中の本もたくさんある。

 もう少し終わったら、いろいろ読みたい。

 

 修論は、まず提出することから無理! と思っていたけれども、執筆中、これは無理! と思うことが頑張るとできるということが3回くらいあって、大変だったけれどもそのことは少し良かったような気がする。

 眠いのでここまで。